トム君の書評

日々の生活の中での書評

カモちゃんの今日も煮え煮え

評価:★★★

著者:鴨志田穣 絵:西原理恵子      分野:エッセー

講談社文庫                定価:本体495円(税別)

2007年7月初版

 

鴨志田氏の名前を聞くのは10年ぶりくらいで、懐かしくてつい古本屋で手に取ってしまった。鴨志田氏と西原氏の本をよく読んだのは20代のころだった。今思うと仕事のストレス解消や海外へのあこがれが読ませたのだろう。読んだことがない本だが、内容的には以前に読んだもののエピソードの繰り返しが多い気がして、目新しいものは少ない。なにより、もっと多い量を、高い質で書けばもっと良くなると思うが彼には無理なのかもしれない。鴨志田氏の名前は「ゆたか」というのだということが今回判明したのは収穫だ。ずっと「じょう」だと思っていた。ともかくも、この本を見ると彼の作品は6冊まで本になったらしい。それはそれだけですごいことだ。また、2007年に彼がなくなった後、1200人が送る会に訪れたそうだ。確かに、彼の破天荒な生き方に惹かれる人が私を含めていたのだろう。その後、高須医院長と西原理恵子氏を相撲中継でよく見かける。好意も悪意も感じないが、西原氏の男の趣味についてはなんとなく納得してしまう。

 私自身、若いころ世界を放浪してみたかったが、残念ながらその体力も勇気もなかったので、それを実行してしまう彼に惹かれるのだろう。ただ、この本の何篇かのうち何度も読み返したいと思うものはほとんどないのは残念だ。何か、後味の悪さやくだらなさを感じてそこまでしたいと思わない。まあ、割と良いのは第1話と第5話かな?