トム君の書評

日々の生活の中での書評

喘息のベストコントロール法:喘息と診断された日から役に立つ

著者:久保裕(くぼひろし)

発行:合同出版       分野:健康/医学

初版:1993年5月

評価:★★★★★

 

普通の本ではないので、評価は私の私的なものである。

私は喘息があるが、これに対する愛憎は本当に深いものがある。2歳くらいからの付き合いになり、高校のころはかなり良くなったのでもしかして大人になればよくなるかと思ったのだが、結局そんなことはなかった。大人になっても長い付き合いが続いている。今年の夏も軽く罹ってしまい、ちょうど時間が割とあるので、治療法について調べてみた。しかし、やはり根本治療は相変わらず不可能らしい。大人になって喘息の人の9割は治らないそうだ。治療法は、結局ステロイドを一生吸入するしかないらしい、、、。わたしはこれに対しては何年か拒否反応を示していたが、今回この本をよく読んでみて、豊かな人生のためにはそれくらいは我慢しなくてはならないと感じた。

 

昔、母が入手してくれて、ざっと斜め読みしただけだったが、今回精読してみて新しい発見も多かった。

 ・喘息は、6人に1人しか遺伝しない。

 ・「様子を見る」とたいてい失敗する。兆候があれば、すぐ治療したほうが良い。

 ・喘息の原因:アレルゲン(主にダニ(ハウスダスト)。他にも、カビ、ブタクサ、

        花粉など多数)、食物、スポーツ、ストレス、疲労、

        光化学スモッグ、車の排気、季節の変わり目、低気圧、寒さ、暑さ、

        アスピリン、風邪、気管支炎、飲酒、喫煙、、、、、、

   (溜息)一体これらを避けて現代人が生きることが可能なのだろうか?

昔は、喘息は甘えが原因だと話す人(医者も含めて)がかなりいた気がする。私はそんな人を見ると怒鳴りつけたい衝動に駆られるが、とにかくそういう人種とは付き合わずに済めばそうしたいと思う。そうできない場合も多いのだが、、、。 

 

久保先生自身も、喘息患者だそうだ。そういわれてみると、喘息を持っている喘息医も多いのかもしれない。完治方法を見つけてもらえれば、ノーベル賞100個分に値すると思うが、、、。

 

それにしても、この本は情報としてはかなり古いので、喘息のことをきちんと知りたい人はもっと新しい本を読むべきだろう。もっとも、それほど進歩していないのが現状だと思われるが、、、。

久保先生は、喘息大学の校長も務められたということなので、ネットを少し調べてみたが、活動は昔ほど盛んではないらしい。共通認識を高めるというひとまずの役割は果たしたということだろう。