トム君の書評

日々の生活の中での書評

善の研究

西田幾多郎著 岩波文庫

実家で大学一年くらいに買ったように思われる。何度も読もうとして跳ね返された。

今回、買ってから30年たって、おぼろげながらも概要をつかむことができたのはうれしい。この本は、岩波文庫の中でも最も売れた本らしい。昔の日本人には感心させられる。

 第1章は純粋経験について。W.ジェームス等から影響を受けた言葉で思考を経ない直覚的経験のことを言うらしいが、直接経験との厳密な意味の違いは読み直さないといけない。第2章実在論、第3章倫理学で、特に第3章では善の意味について様々な角度から述べられているので、結果として、人生論、幸福論になっている。第4章は宗教について述べられるが、ここでいう宗教はほとんど基督教なのは少し意外な感じがする。仏教についても深い理解があるのだろうが、これについては別の文献を読む必要があるのだろう。

 この本は、西田哲学の端緒に過ぎないらしいが私が次の内容に今後進むことがあるのかはわからない。ともかく、人生をとても勇気づけてくれる1冊。